我が家の価格は一体いくら?

自分の住まいの価格を知る

住まいを買い換えるときに何から着手するかは、売却物件の条件や住宅市況などによって異なります。まず、購入物件を探し、それをきっかけにして本格的にご自宅の売却を検討する方もいれば、ご自宅の売却が確実になった段階で購入物件を探すという方もいます。

 まずは、住まいを買い換えるときの全体の流れを把握したうえで、どのように買換え計画を組み立てていけばよいのかを考えみましょう。


買い換えをめぐる5つの価格

住まいの買い換えを思い立ってから買主と売買契約を結ぶまでの間に、5つの価格が行き交うといわれています(図表1)。

1 つ目が買い換えを思い立ったときにあなたが「売りたい」と考えていた売却希望価格」です。

これに対して、売却の相談を受けた仲介会社では、あなたの家の敷地や建物の状況、周辺環境などを調査する一方で、近隣で売買された最新の取引事例などと比較して「査定価格」を算出します。

次に、物件を売り出す際に、あなたの売却希望価格と仲介会社が算出した査定価格を総合的に判断して「売出価格」を決めます。

ここまでに3つの価格が行き交ったことになります。

そして、売出後には、これに買主が希望する「購入希望価格」と、最終的に売主と買主が合意して決める「成約価格」の2 つが加わります。

ポイントは査定価格

 この5 つの価格のなかで、常にその中心に位置するのは査定価格です。通常、売出価格は、売主の意向が反映するので査定価格よりも高く設定されます。一方、買主は売出価格を見て少しでも安く買おうと指し値(購入希望価格)を入れることがありますが、仲介担当者は「そんなに低い価格では売ってもらえませんよ」というように、査定価格をベースにしてアドバイスを行います。その結果、査定価格に近い水準で成約価格が決まることになります。

客観的に評価される価格査定

国土交通省が定める「宅地建物取引業法の解釈・運用の考え方」では査定価格に関する意見の根拠の明示義務については、「価格査定マニュアル(不動産流通近代化センターが作成した価格査定マニュアル又はこれに準じた価格査定マニュアル)や、同種の取引事例等他に合理的な説明がつくものであることとする」とされています。不動産流通近代化センターでは「価格査定マニュアル」を作成して、どのようにして物件を評価するかについて詳しい解説を加えています。

 担当者の主観を排除し、客観的に評価できるようにつくられているので一定の水準まで熟練した担当者がこの解説書に従って所定の査定シートに入力していくと、ほぼ同じ結果が得られることを目指したものです。また、一般的に査定価格は3 ヵ月程度で買手が付くことを目安にして算定されます。従って、理論的には査定価格よりも高く売りたいときは3ヵ月以上の長期戦を覚悟する必要があり、逆に早く買手を見つけたいときは売出価格を引き下げるとよいとされています。


価格に納得して媒介契約を結ぶ

仲介会社から査定価格の提示を受けたときには必ずその価格の根拠を聞き、納得したうえで媒介契約を結びましょう。根拠が曖昧な査定価格をベースにして売出価格を決めてしまったのでは、売るタイミングを逸してしまいかねません。通常、価格査定は無料で行ってもらえるので、できれば複数の仲介会社に依頼し、納得のいく説明をしてくれた仲介会社と媒介契約を結ぶとよいでしょう。